事業仕分け

 先頃の事業仕分けについて、関連する国立大学や学会からも多くの声明・コメントが出された。国立大学法人化のときと違って、当事者が異論を表面化させたことには驚いた。政権が変わり意見しやすい雰囲気になったのだろうか。
 マスコミはお金の話になると突如として書き立て始める。事業仕分けも話題の中心は金額ばかりだ。麻薬のような一過 性のネタを探しているとしか思えない。様々な視点から検証しなければ大事なことが見えなくなる。価値をはかるには手間も時間もかかるものだ。しかし、どん な手順を踏んでも、適正な予算規模に正解はないし、限られた予算の中で答を出すのは本当に難しいと思う。
 また、大学や研究機関のしていることは詳しくは知られていないと思う。多くの国会議員も知らないのではないか。自分とは関係ない思っている市民も多いかもしれない。知らなければ議論にならないから、する前から事業仕分けはうまくいきそうにない気がしてくる。
 今、あるテキストの改訂作業をしている。以前おられた先生がつくったものだ。こんな説明ではわからないと常々思っ ていたところが少しあったので、意気込んで修正を試みた。しかし、うまく書けない。情けないが、自分が当事者になってみて初めて難しさがわかる。端から野 次馬で批判するのは簡単だ。
 事業仕分けをやったこと自体は評価できると思う。今後は現場、市民、政治の間で根気良く議論できるようになってほしいと思う。無責任な野次馬にならないよう気をつけたい。

(Y. A.)
(2010/02/15)

参加の決め手

 一昨年、JSA九州沖縄シンポジウム益川敏英氏を招いて講演会を行なった。当日を大変楽しみにしていたし、討論も含めてとてもいい話が聞けた。また、特に何もしていないが、実行委員会のメンバーであったことは貴重な体験であった。招待にあたった方は多くの苦労があったと思う。
 そして、シンポの二日後に益川氏ノーベル賞受賞のニュースがあった。その後の益川氏の講演会は文字通り桁違いの聴 衆を集めていると聞いた。益川氏がおっしゃる通りノーベル賞はやはり社会現象の側面をもつ。一方、JSA九州沖縄シンポの参加者は40名弱であった。行き たいと言っていたのに来なかった人もいる。もったいない気がする。
 しかし、行った私もたまたま実行委員会にいて事前に予定を入れることができたから行ったのであって、そうでなければ行きたいとは思うがどうなっていたかわからない。また、ここ何年かの間に失望した講演も、僭越ながらいくつかある。
 参加の決め手は何だろうか。時間的ゆとり、関心の高さ、人間関係…スポーツや音楽であればどうだろう。例えば、野 球好きの子供ならプロ野球を観戦したいのは当然だ。「有名な学者が講演に来るから聞きに行きたい。」という人はどれくらいいるだろうか。いろいろ要因はあ るが、そもそも関心がないことは大きい気がする。
 多くの人に学問や科学の話にも関心を持ってほしいと思う。益川氏は大変多くの準備をして講演に来て下さった。自分に関係ないから、どうせわからないからということが不参加の理由だったら残念に思う。

(Y. A.)
(2010/02/10)