時間外労働割増賃金

 2010年4月から、労働基準法が改定され、時間外労働における割増賃金が増える。従来は、25%増し以上が法律で求められていたが、今度は3段階に分かれる。1ヶ月あたり45時間までは25%増以上で変わりないが、45時間から60時間まででは25%を越えるようにする努力義務が課され、60時間を超える場合は50%増とするというものである。一定の規模以下の会社等では60時間を超えても45-60時間の場合と同じになるのだが、大学では多くが60時間以上では50%以上が法律で求められることになるので、1ヶ月60時間を超える時間外労働が減るであろう。ただそれが、みかけ上減っても、サービス残業が強要されたりするのでは何にもならない。各職場で気をつけるべきことだ。

 45-60時間の場合は努力義務だからしなくてもいいんだと決め込んで、40時間までの場合と同様の割増率で行くのであれば、それは法律の趣旨を汲んでいないと言わざるを得ない。ところが、実際には同じ率で行くところが多いのではないだろうか。45時間というのは、労働基準法で定められている1ヶ月あたりの時間外労働の上限であり、それを越える時間外労働を可能とするには特別時間外労働として労使協定を締結しなくてはならない(労働者過半数代表者が署名しなければ不可能)。それだけ45時間を超えるということは45時間以下と違うのであり、法としては割増率を上げて、45時間以上になるべくならないようにという抑止力を意図しているのであるから、25%以上に設定するのが大いに望ましいところだ。しかしもし財務格付けも優秀なはずの大学で軒並み割増率を上げないということになれば、それは大変残念で、社会的責任を果たしたと言えないのではないかと思う。それで、どうなっていくのかウォッチしていこうと思う。

 教員は裁量労働制が多く、あてはまらない話であろうが、教員以外の職員に気持ちよく働いてもらうためには、45-60時間のところは、ぜひ25%を越える設定をしてもらいたいものである。

 なお、細かくは労働時間帯その他によって少し話が変わることがあるので御注意いただきたい。

(Y.S.)
(2010/03/31)