研究費四苦八苦

 私の研究は個人でする種類のもので、外部資金を獲得する場合も個人での研究となる。今年度は受託研究もあり、これは全体としてはグループで遂行するものではあったが、大学内では事実上私だけが動く種類のものであった。従って、事務作業を含めてすべて自分でしなくてはならない。科研費などは、ある程度シームレスに行っている自分の研究の流れというものがあって、研究費の使い道はあらかじめかなり頭の中にあるものだが、今回の受託研究費については、普段自分がしていることとかなり違うことを依頼され、単年度の研究なのに採否が決まるのが7月になるとのことであった。することといえば授業における実験なので、後期の授業を利用することになるから、それに必要なものを買うことを考えた。ところが、予算が来る前に、全体のプロジェクトが某省に採択された後、研究主体の企業と大学が契約を締結するのに時間がかかり、予算が執行できることになったのは12月だった。事務方からは前倒しで使ってしまうことは困難ということだったし、いつ執行可能になるかわからないため、授業には間に合わず、購入するものを考え直すことにしたのは11月末。授業の役に直接は立たない形で大きな買い物をしたことになる。
 予算の単年度主義がこういうことを引き起こす。こんなスケジュールでしか手続きが進行しないなら、受託研究は最低2年とすべきだ。また、年度末の残高をちょうどゼロにするというのも何とかならないか。年度末にはキャンパス内店舗に1枚1円の封筒や1つ1円のクリップを求めに来る先生方が多い。先日はその店舗で封筒が切れ、ひとつ15円とか23円とかの大型クリップの組合せで残高がちょうどゼロになるようにと電卓を打っては頭をかかえている方が大勢いた。1万円未満の使い残しは認め、大学でそれらをかき集めて、外部資金関係専用のペーパーワークスタッフを雇っていいことになったらいいのだが。

(Y. S.)
(2010/03/04)