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Nature誌の記事にもなった、軍学共同反対のJSAの取り組み

JSA事務局ニュース 2015.5.11発行】より

 JSAが設置する全国規模の研究委員会の一つ「平和問題研究委員会」は、総学の平和問題の分科会の運営、原水爆禁止科学者集会への協力、大会や常任幹事会での平和 安保問題の決議の起草などに携わっています。そして、委員が尽力する最近の顕著な活動が、軍学共同反対の取り組みです。産業界の強い意向を受けて、安倍政権は武器輸出三原則を事実上撤廃して軍需産業を国家的に育成する政策をとり、武器輸出へ首相がトップセールスを始め、軍民共用技術(デュアルユース)というソフトイメージのキーワードでの軍学共同を強力に推進し始めています。これに対抗しようと、浜田盛久・赤井純治委員が中心になり、池内了・多羅尾光徳氏が加わり、案文を練り、呼びかけ人を組織し、高額の費用負担もして、「軍学共同反対アピール署名の会」を立ち上げ、ウェブ署名を始めたのです(20総学予稿集 p.52-55)。
 同会は JSA の非会員も含む有志組織です。平問研の委員もそこに多数参加し、委員会全体のものとして共有・支援されています。websiteを見たのか、Nature誌のアジア太平洋特派員 Cyranoski氏が亀山にメール取材してきました。これに、委員会内外の4名のJSA会員が丁寧に回答を重ねたところ、Japanese academics fear military incursion (軍事の侵入に脅かされる日本の学界)Nature 521, 13–14 (07 May 2015) という記事になりました。ImPACTや安全保障技術研究推進制度などが取り上げられ、1950年の学術会議の宣言からの転換であるとされています。「軍事の目的や論理が、日本の科学界で主要な影響を持ち出しかねない」「大学や研究機関に軍事研究をさせる政府の戦略という点で、額は少ないが重大な転換点だ」「我々は科学者の良心に訴えている」などの浜田 亀山のコメントを紹介し、署名が1000筆に達していることを報じています。本記事は、「朝鮮日報」「中国科学報」などに転載されています。
 自然科学系の研究者にとってNatureに名前が載るのは「事件」です。今回の記事ではJSAの名前こそ出ませんでしたが、その活動水準がはしなくも示されました。私たちJSAの果たしている役割に自信を持って、6/13 のシンポの成功やウェブ署名の推進にご協力下さい。(JSA平問研委員長 亀山統一)
軍学共同反対アピール署名のサイト

http://no-military-research.a.la9.jp/