第1回 JSA福岡談話会
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<第1回 JSA福岡談話会>
日時:6月30日(金) 午後7時〜(90分ほど)
話題:「抑止力による平和か,非軍事による平和か〜議論の枠組みの提案〜」
話題提供:豊島耕一氏 発表資料
様式:ZOOMによるオンライン開催
ZOOM情報:ミーティングID: 815 151 6469 パスワード: 3KsYt4
(内容紹介)
テーマ1:軍拡と軍縮をめぐる思考の対称性の回復
「攻められたらどうするのか」に始まる議論は、逐条的に始めれば果てしないもの
になりますが、この問題をいわば「並列処理」的に考察する方法を提案します。
「新しい戦前」がいよいよ現実味を増す中、これを「キャンセル」するのは容易
ではなく、さまざまな行動と共に、強い説得力を持つロジックを構築することが
重要です。一般の人だけでなく、軍拡論者のマインドセットを解きほぐす可能性
を探ります。
テーマ2:「代替防衛」について
現在の日本の軍拡への動きと、それをやむを得ないと思う一部の世論の背景には、
ロシアによるウクライナ侵攻があり、それに軍事で備えるのは当然という考えが
あると思われます。しかしウクライナの国内にも、武力によらない抵抗を試みて
いる勢力があり、この事実はほとんど知られていません。この「ウクライナ平和
主義者運動」の主張、行動、そしてその基盤にある「代替防衛」について考察し
ます。
(参考文献等)
テーマ1
(1) 「『攻められる』ことと『攻める』こととの等確率性」,『日本の科学者』
2005年1月号,p.47. 次のブログ記事に転載
https://pegasus1.blog.ss-blog.jp/2017-05-03
(2) 弊ブログ記事「『中国が南西諸島に侵攻する』のか? -戦争防止のための
メモ」- 増補改訂版
https://pegasus1.blog.ss-blog.jp/2022-12-02#qcomputer
テーマ2
(3) 「ウクライナの平和主義者運動シェリアジェンコとのインタビュー」
https://pegasus1.blog.ss-blog.jp/2023-06-05
(4) エリカ・チェノウェス,「市民的抵抗」,4章(p.287-292).
ブログに引用:https://pegasus1.blog.ss-blog.jp/2023-06-02#c4p287
(5) マイケル・ランドル「市民的抵抗」,新教出版,2003年,第5章「代替防衛*とは何か」
<報告>
JSA福岡支部では,「市民と科学者の対話」などと一般市民が興味を持つような
講演会とは違った形で支部のJSA会員が気楽に語り合えるような会を談話会と
いう形で開いてはどうかという意見が出て,その一番手として豊島耕一氏
(元佐賀大学)に平和の問題に関して話題提供していただいて,以下のような
談話会を行なった.この談話会の報告は『日本の科学者』10月号の「科学者
つうしん」欄(p.55)に掲載されたものを以下に載せる.なお,話題提供者自身
による詳しい内容が下記のブログサイトにあるので参照されたい.
https://pegasus1.blog.ss-blog.jp/2023-07-23-1
『日本の科学者』10月号の「科学者つうしん」の内容
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
支部では数ヵ月に1回程度の割合で,一般市民を意識したテーマで「市民と
科学者の対話」という講演会を開催している.それとは別に,「会員の中で気軽
に話題を出し合う談話会をネット会議で開いたら」ということで,その第1回目
を6月30日(金)の夕方に10名前後の参加で開いた.戦争と平和についての
話題提供を豊島耕一氏にお願いした.
豊島氏は,はじめに,「攻められる」と「攻める」ことが「場合の数の確率」
としては等確率であることを初歩的な確率論から説明した(『日本の科学者』
2005年1月号p.47).
次に,軍備増強(方法1)と軍備撤廃ないし縮小(方法2)の,平和時および
戦時におけるメリットとデメリットを挙げた上で,「どちらが絶対的に優位である
とはいえない」とした.しかし「時間の要素」を考慮すると,軍縮が進む場合には,
方法2のメリット(他国に脅威を及ぼさず安心感を与える,人命損失少)は拡大し,
デメリット(他国による軍事侵攻の敷居を下げる,占領を許す可能性)は縮小する
とした.方法1はその逆になる.
方法2のデメリットを補完する方法として,「代替防衛」について説明した.
「代替防衛」とは軍隊や軍事力によらない,非暴力による国家防衛のことであると
いう.「代替防衛」の社会的・文化的インフラを作っていくのは時間がかかり困難
かも知れないが,それなしには永続する平和は得られない.カントが『永遠平和の
ために』の中で「常備軍は時とともに廃止されなければならない」と書いて200年
以上も時が過ぎていると結んだ.
経済的な問題や,ウクライナのように突然攻められた場合に具体的にどうするか
のホットな議論があった.憲法9条をもつ日本がとるべき「代替防衛」を真剣に
考える必要があると感じた.
(三好永作・福岡支部)
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日時:6月30日(金) 午後7時〜(90分ほど)
話題:「抑止力による平和か,非軍事による平和か〜議論の枠組みの提案〜」
話題提供:豊島耕一氏 発表資料
様式:ZOOMによるオンライン開催
ZOOM情報:ミーティングID: 815 151 6469 パスワード: 3KsYt4
(内容紹介)
テーマ1:軍拡と軍縮をめぐる思考の対称性の回復
「攻められたらどうするのか」に始まる議論は、逐条的に始めれば果てしないもの
になりますが、この問題をいわば「並列処理」的に考察する方法を提案します。
「新しい戦前」がいよいよ現実味を増す中、これを「キャンセル」するのは容易
ではなく、さまざまな行動と共に、強い説得力を持つロジックを構築することが
重要です。一般の人だけでなく、軍拡論者のマインドセットを解きほぐす可能性
を探ります。
テーマ2:「代替防衛」について
現在の日本の軍拡への動きと、それをやむを得ないと思う一部の世論の背景には、
ロシアによるウクライナ侵攻があり、それに軍事で備えるのは当然という考えが
あると思われます。しかしウクライナの国内にも、武力によらない抵抗を試みて
いる勢力があり、この事実はほとんど知られていません。この「ウクライナ平和
主義者運動」の主張、行動、そしてその基盤にある「代替防衛」について考察し
ます。
(参考文献等)
テーマ1
(1) 「『攻められる』ことと『攻める』こととの等確率性」,『日本の科学者』
2005年1月号,p.47. 次のブログ記事に転載
https://pegasus1.blog.ss-blog.jp/2017-05-03
(2) 弊ブログ記事「『中国が南西諸島に侵攻する』のか? -戦争防止のための
メモ」- 増補改訂版
https://pegasus1.blog.ss-blog.jp/2022-12-02#qcomputer
テーマ2
(3) 「ウクライナの平和主義者運動シェリアジェンコとのインタビュー」
https://pegasus1.blog.ss-blog.jp/2023-06-05
(4) エリカ・チェノウェス,「市民的抵抗」,4章(p.287-292).
ブログに引用:https://pegasus1.blog.ss-blog.jp/2023-06-02#c4p287
(5) マイケル・ランドル「市民的抵抗」,新教出版,2003年,第5章「代替防衛*とは何か」
<報告>
JSA福岡支部では,「市民と科学者の対話」などと一般市民が興味を持つような
講演会とは違った形で支部のJSA会員が気楽に語り合えるような会を談話会と
いう形で開いてはどうかという意見が出て,その一番手として豊島耕一氏
(元佐賀大学)に平和の問題に関して話題提供していただいて,以下のような
談話会を行なった.この談話会の報告は『日本の科学者』10月号の「科学者
つうしん」欄(p.55)に掲載されたものを以下に載せる.なお,話題提供者自身
による詳しい内容が下記のブログサイトにあるので参照されたい.
https://pegasus1.blog.ss-blog.jp/2023-07-23-1
『日本の科学者』10月号の「科学者つうしん」の内容
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支部では数ヵ月に1回程度の割合で,一般市民を意識したテーマで「市民と
科学者の対話」という講演会を開催している.それとは別に,「会員の中で気軽
に話題を出し合う談話会をネット会議で開いたら」ということで,その第1回目
を6月30日(金)の夕方に10名前後の参加で開いた.戦争と平和についての
話題提供を豊島耕一氏にお願いした.
豊島氏は,はじめに,「攻められる」と「攻める」ことが「場合の数の確率」
としては等確率であることを初歩的な確率論から説明した(『日本の科学者』
2005年1月号p.47).
次に,軍備増強(方法1)と軍備撤廃ないし縮小(方法2)の,平和時および
戦時におけるメリットとデメリットを挙げた上で,「どちらが絶対的に優位である
とはいえない」とした.しかし「時間の要素」を考慮すると,軍縮が進む場合には,
方法2のメリット(他国に脅威を及ぼさず安心感を与える,人命損失少)は拡大し,
デメリット(他国による軍事侵攻の敷居を下げる,占領を許す可能性)は縮小する
とした.方法1はその逆になる.
方法2のデメリットを補完する方法として,「代替防衛」について説明した.
「代替防衛」とは軍隊や軍事力によらない,非暴力による国家防衛のことであると
いう.「代替防衛」の社会的・文化的インフラを作っていくのは時間がかかり困難
かも知れないが,それなしには永続する平和は得られない.カントが『永遠平和の
ために』の中で「常備軍は時とともに廃止されなければならない」と書いて200年
以上も時が過ぎていると結んだ.
経済的な問題や,ウクライナのように突然攻められた場合に具体的にどうするか
のホットな議論があった.憲法9条をもつ日本がとるべき「代替防衛」を真剣に
考える必要があると感じた.
(三好永作・福岡支部)
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