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新型コロナウイルス感染症拡大防止に関しての提言

新型コロナウイルス感染症拡大防止に関しての提言



2020年4月6日に「新型コロナウイルス感染症拡大防止に関しての提言」を日本科学者会議福岡支部幹事会で決定しました.本提言は,国,福岡県,福岡市および市民に対する提言であり,明日早朝に提出されます.(EM)
4月7日,本提言は,午前中に首相官邸ホームページから安倍晋三首相へ提出し,午後からは福岡市役所2階の広聴課まで出向き高島宗一郎市長へ,さらに福岡県庁8階の秘書課で小川洋県知事へ提出しました.その後で,県政記者クラブにこれらのことをプレスリリースしました.(EM)

提言のpdfファイル

新型コロナウイルス感染症拡大防止に関しての提言



2020年4月6日
日本科学者会議福岡支部幹事会(注1)


 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について,4月5日現在,世界全体でその患者数は110万人を越え,死者は6万人を上回る感染爆発が進行し,多くの感染都市では医療崩壊が生じています.この感染症に有効な医療は未だ確立していません.日本は今,感染爆発の危機に直面していますが,政府は全世帯に布マスクを配布するといった,科学的には有効性が疑われる場当たり的な「対策」を行う一方で,感染拡大を防止するための納得のいく明確な方針・対策を示し得ていません.感染拡大を抑制し一人でも多くの生命を救済する具体的な対策をとることが緊急に必要です.感染爆発を前にして国および地方自治体および国民に対し,以下のような感染拡大防止の明解で有効な対策を早急にとることを求めます.

①<感染拡大防止のために社会活動や移動の強力な制限を> COVID-19に対する有効な治療法がない今日,医療管理下における感染者の適切な隔離は当然のことです.現在,PCR検査を行っていない多くの人々は感染者であるかどうか判りません.人々の社会的行動を制限する以外に,感染拡大防止の有効な手立てはありません.感染拡大防止には社会活動や移動の強力な制限が必要です.私たち市民一人ひとりも不要不急の外出を控え,やむをえず外出する際には「社会的距離」(social distancing,他人と約2 m離れること)を保つことが大切です.

②<検査体制の拡充と感染者隔離体制の構築を> COVID-19に対するPCR検査や抗体検査の体制を拡充して,早急に検査数を上げること,さらに無症状感染者や軽症者はホテルなど適切な宿泊施設を自治体が確保しそこに収容することが感染拡大防止に不可欠です.無症状感染者や軽症者だからといって自宅に帰すということは,決してやってはなりません.PCR検査は自治体主導で推進し,発熱外来も自治体のもとに設置するのが合理的です.

③<重症者に対する集中治療体制の早急な拡充を> 重症者を治療する集中治療施設(ICU)を早急に拡充することが必要です.人工呼吸器や人工心肺装置ECMOを含む先端医療機器を早急に増産し,それに見合う医療要員(医師,看護師,検査技師など)を集中配備することも必要です.国は,感染者用ベッドの確保とともに,要員確保・医療物資確保・医療者の感染防止などのための充分な財政支援策を大胆にかつ速やかに実施すべきです.

④<中長期的な感染拡大防止対策と経済補償を> 国は,少なくとも数か月から半年という中・長期にわたる感染拡大防止策を立てる必要があります.多くの業種で長期の休業になる可能性があります.この休業には,事業主や従業員に対する補償が欠かせません.国は大胆な補正予算を組み,自粛要請に伴う損失を速やかに補償することが必要です.

⑤<緊急事態宣言による言論統制は不可> 緊急事態宣言の下では「事実報道」を旗印に政府による報道機関への報道干渉が増えることが懸念されています.このような干渉は言論統制に繋がるものであり,民主的制度の下では決してあってはならないものものです.

⑥<危険な原発の稼働停止を> 現在,9基の原発が稼働中(一時停止中3基)ですが,それらの施設で感染爆発が起きれば,事故発生時の適正な対応が取れないリスクがあります.少なくともコロナ禍が収まるまで原発は停止すべきです.

以上


〔注1)日本科学者会議は,研究分野を越えて,日本の科学の自主的・総合的な発展と科学者としての社会的責任を果たすことを目指す,科学者を中心として技術者・医師・弁護士などからなる学術団体です.