標記の集会(25総学)が「平和で豊かな地球を子や孫に伝えるために ―市民として科学者として今、私たちにできること―」という主題で 2024年11月23日(土)~12月8日(日)間にオンラインで開催された。与えられた文字数が限られているので、筆者の問題意識を中心に紹介する。詳しくは3rd サーキュラー (https://jsa.gr.jp/d/_media/sougaku/25sogaku-3rdcircular_241111.pdf) を参照のこと。
25総学は全体企画(基調講演ひとつと全体集会における3つの講演)と7つの分科会群(総数25)から構成されていた。全分科会の報告の総数は114くらい。のべ参加者数など詳細な情報は得ていないが、JSA会員の問題意識に相当な多様性が存在することは総合的な学術的組織としてJSAの活動として積極的に評価できる。特に、「A 戦争のない平和な時代を拓く」における報告総数は21、「B 地球環境の危機的状況の克服、原発問題の解決、防災・減災、災害復興」における報告総数は38であったように、他の分科会よりもかなり多かった。
しかし、国際的に重要性、深刻度を増している課題(気候危機・エネルギー問題、核戦争の危機を含む平和と戦争問題(または安全保障問題)に関する分科会はあったが、他の分科会と同列にではなく、戦略的に優先度を設定するべきだったのではないかと筆者は感じる。
残念ながら、気候危機・エネルギー問題に関連しては、再エネ関係の話題がほとんどで、省エネ(エネルギー需要削減、エネルギー効率向上)の話題はほとんどなかった。
また平和と戦争問題(または安全保障問題)については非武装平和主義(または原理主義的護憲派、絶対平和主義)からの報告が多く、専守防衛平和主義(または修正主義的護憲派、平和優先主義)からの報告は皆無であった。筆者の記憶が誤りでなければ、JSA内で専守防衛平和主義からの発信は、憲法9条をめぐる攻防の中で確立した「専守防衛」という大原則という論点を明示した奥野恒久論文(「日本の科学者」2023年11月号掲載)だけではないか。「専守防衛」論にも種々の批判があることは承知しているが、2014年の集団的自衛権反対運動のように、両者の共闘が現実的には重要であると筆者は考える。
また介護問題に関する分科会はあったが、健康寿命に関する話題はなかった。これら3つの課題に対応する研究会はJSA福岡支部には設置されていない。
(岡本良治)
2024/12/23 第25回総合学術研究集会について
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