7月14日(月)に行われた「日本の科学者」読書会は,6月号(特集「原発のない社会づくりのための検証と展望」)と7月号(特集「中国地方の鉄路と地域公共交通のこれから」)を合わせての読書会となりました.6月号の特集には福岡支部の岡本さんが編集にも携わり,論文も掲載されています.そのこともあって,通常の参加者よりも多く(といっても10名に満ちませんが)の会員の参加がありました.
報告は3つで,まず,牧さんが「原発廃止 是か非か」−F高等学校生徒との討論(著者:山本富士夫)を紹介されました.内容はおよそ「福井県立F高等学校で「原発廃止 是か非か」をテーマに講演を行った.原発は核分裂連鎖反応で発電するが,事故発生時の放射線被害や核廃棄物の問題が深刻.脱原発の科学的根拠を示し,生徒からの質問に答えた.」というものでした.
また,著者の原子力研究委員会で積極的に活動されていた福井支部の山本さんがつい最近急逝されたこと,JSAの特集にあたってのやりとりなども含めて岡本さんから紹介がありました.
次に,黒澤さんが「原発の危険性は放射線被ばくにある−福島原発事故によう健康被害の真相」(著者:山田耕作)を紹介されました.内容は「福島原発事故による健康被害は深刻で,小児甲状腺がんや心筋梗塞,周産期死亡率の増加が確認されている.内部被ばくの脅威は大きく,セシウムの偏在やペトカウ効果(ペトカウ効果とは,低線量の放射線を長時間浴びる方が,高線量の放射線を短時間浴びるよりも,細胞膜を破壊する効果が大きいという現象.特に,体内に取り込まれた放射性物質による内部被曝において,この効果が顕著に現れるとされている.)により,がんや白血病の増加が懸念される.三田医師は首都圏でも白血球減少が顕著であり,放射性物質による内部被ばくの影響が広がっていると指摘する.」というものでした.最後に小早川が「原発再稼働先行地域の電力需給バランスに学ぶ−泊原発再稼働は北海道の自然エネルギー電力にどう影響するか」(著者:山形 定)紹介しました.内容は「日本は脱炭素化のため,自然エネルギーと原子力発電の併用を進めている.北海道では泊原発再稼働に伴い,自然エネルギー発電の優先給電ルールにより,自然エネルギーの普及が抑制される恐れがある.四国エリアの伊方原発再稼働例から,原発再稼働は自然エネルギーの強制停止量増加につながる可能性が高い.四国電力は他エリアへの電力供給のため伊方原発を稼働させ,原発停止時のバックアップとして火力発電所も稼働率が上がっている.関西電力での原発再稼働により,四国電力からの送電量が減少し,自然エネルギー発電の出力制御が増加している.北海道ではメガソーラー発電の余剰電力対策として,EV蓄電池活用やバイオマス利用など脱原発に向けた技術開発が求められる.」というものでした.
(読書会世話人代行:小早川)
2025/07/14 「日本の科学者」読書会の報告 6月号特集「原発のない社会づくりのための検証と展望」/7月号特集「中国地方の鉄路と地域公共交通のこれから」
「日本の科学者」読書会

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