2025/07/26 福岡AI問題研究会(仮称)準備会へのお誘い

(呼びかけ)

近年驚異的進展を見た機械学習技術を基礎に置く人工知能AIは、いま、社会全般のデジタル化大競争における主役に君臨して、デジタル化変革を牽引している。特にこの一、二年の大規模言語モデルLLMの成功は、その汎用性とインターフェイスの包容力から、人間活動のほとんどの場へAIを適用できる可能性を一挙に開いたように見られる。現代のAIは、莫大な量の観測データから次の最適な行動を「予測」するマシンである。例えば、病状観測データから最適な医学的処置を割り出すAI、車載カメラの映像から障害物を判別する自動運転AI、手話通訳AI等々、専門的技能に関しては、確かに便利な機械である。AI が、この様に人間の仕事を補完し、あるいは能力拡張の技術ならば、誰もその発展を押し止めることは出来ないであろう。

しかし、例えば、教師と生徒の授業中の振舞いを監視して数値データ化し、そこから生徒個別に最適学習計画を提供し、或いは教師の教育力を評価するAIは、教育を何処に導いて行くか。新しい機能をもつタンパク質の開発プロセスを提案できるAIは、請われれば、毒薬の製造法をも教示可能であろう。既に戦場に派遣されて人間を殺す役を引き受けているAIもある。人間の労働、熟練が生み出した大量データがAIの能力を高め、その結果、そのAIという機械が人間の役割に取って代わる。人間は新しい便利な技術を手にして、自分の居場所を失うのであろうか。またAI装着人間は、外部への能力拡張を果しながら、裸の人間としての能力を衰退させて行くのであろうか。

AIは、既に指摘されている「ブラックボックス問題」、「バイアス問題」、倫理性、またフェイク動画問題、ソーシャルメディアを通した思考誘導・世論操作の危険性などについての議論をすり抜けて、超急速に、あらゆる産業、医療、教育、政治、軍事、更には科学、芸術などにも侵蝕の手を伸ばしている。人間活動の多くの分野がそのAI技術とどう向き合うか問われる事態になった。正に今、これら諸問題を、幅広い分野の研究者が参加して、討論しておく必要がある。

JSA福岡支部としては、今まで北九州分会例会や支部講演会で、AI化社会を如何に生きるかの議論を重ねてきたが、この問題の重要性を考え、先の第55回福岡支部定期大会における提起に基づいて、「福岡AI問題研究会(仮称)」の設置を提案する。まずその準備会を下記日程で開きます。

<「福岡AI問題研究会(仮称)」準備会>
日時:2025年7月26日(土)14時から2時間
形式:Microsoft Teamsオンライン会議(その他詳細は「例会等の案内」の項参照)
そこでAI 化社会の問題や課題を出し合い、研究会の持ち方、計画を話し合いたい。多くの会員方々の御参加をお待ちしています。
(研究会呼びかけ人:西垣 敏、小早川義尚、中野 豊)