支部活動

 

「日本の科学者」読書会

2025/12/08 「日本の科学者」読書会12月例会の報告

JSA福岡支部の「日本の科学者」12月の読書会は,定例の第2月曜日12月8日(月)14時からオンラインで開催されました.参加者は今回も前回と同じメンバー4名でした.特集「主権者を育てる」の最初の3論文(大倉,大津,林)の概要を3名の会員が紹介して主権者教育について諸外国の実情と日本の状況を比較しながら意見を出し合いました. 3論文の紹介の概要は以下の通りです. 大倉論文「主権者教育の小さな試み」では,著者が教えている専門学校の学生に辺野古ゲート前デモへの共感が弱いのは憲法理解不足が原因と考え,担当授業の余剰時間を使って憲法ミニ授業を実施し,それが市民デモ理解や主権者意識の向上に一定の効果が見ら...
「日本の科学者」読書会

2025/11/10 「日本の科学者」読書会11月例会の報告

JSA福岡支部「日本の科学者」11月の読書会は,11月10日14時からオンラインで開催されました.参加者は4名でした.特集「洋上風力発電の課題」の最初の3論文(草島,田鎖,浦)の概要を3名の会員が紹介して風力発電について討論をしました. 草島論文「洋上風力発電の持続可能な開発とは」では洋上風力発電の抱える課題がコンパクトにまとめられ,続く田鎖論文「風車騒音による住民への健康影響に関する考察」では騒音の問題が,浦論文「洋上風力発電が鳥類に与える影響とその回避軽減策としてのセンシティビティマップの活用」では野鳥や野生生物に与える影響の問題とそれへの対策の提言が紹介され,どちらも洋上風力発電施設が住...
核問題研究会

2025/10/25 福岡核問題研究会10月例会の報告

日時:10月25日(土)10:00~(オンライン形式)報告者:伊佐智子(久留米大学)題名:「原爆投下及び被曝問題の法律学における扱かわれ方についてー無視と忘却ー」報告の主旨 本報告では、NHK連続テレビ小説「虎に翼」のなかで原爆裁判が取り上げられたことをきっかけに、報告者自身も初めてその存在を知った。そして、原爆裁判や被爆者の法的扱いについて、法律学では長らく無視・忘却されてきた現実があり、なぜそうなっているのか、その原因を筆者なりに探求したものである。1.法律学における原爆裁判の忘却 Cinii(国立情報学研究所)論文検索サイト論文検索(2000~2025年)において「原爆裁判、法律」を入力...
核問題研究会

2025/11/22 福岡核問題研究会11月例会の報告

日時:2025年11月22日(土)10:00〜講演者:北岡逸人(きたおかはやと、非会員、元新潟県柏崎市市会議員)講演題目:「泊原発の設置変更許可の取消しを求める審査請求&その背景について」  この講演は、「北海道電力の泊原発3号機の設置変更許可」の取消しを求める審査請求と、その背景にある技術的・本質的な問題について説明したものである。審査請求の目的と背景• 2025年10月末、国の原発審査に重大な問題があるため泊原発3号機の設置変更許可の取消しを求める審査請求を、原子力規制委員会 に対して郵送で実施した※。• 重大な問題とは水蒸気爆発対策の放棄で、この問題は全国の加圧水型原発(PWR)に共通す...
エッセィ・コラム

2025/10/20 『 8月6日、ハレの路上にて』今井宏昌

第二次世界大戦終結から80年となる今年、私は偶然にもサバティカル(研究休暇)を取得することができ、6月末から8月半ばまでドイツに研究滞在する機会を得た。現地では終戦80年をテーマとする様々な催しが開催されており、私も研究仲間に誘われ、ポツダムで開催された1945年をテーマとするワークショップに参加するなどした。ロシア・ウクライナ戦争やイスラエルによるガザでのジェノサイドが終息を見せず、さらには極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が台頭する中にあって、この80年をどう総括すべきかという問題意識は、現地で遭遇した議論をはじめ、ドイツ社会の中に全体として渦巻いていたように思う。 80年目の8月...
AI問題研究会

2025/09/20 JSA福岡AI問題研究会 第1回例会(9/20)の報告

9月20日(土)14:00からオンラインでAI問題研究会の第1回例会を開催しました.残念ながら参加者は世話人の2名だけでした.2名だけでしたが予定通り2020年に「日本の科学者」に掲載された小倉久和氏の「AIと社会(1),(2)」について西垣と小早川がそれぞれ報告して討議しました.「AIと社会(1)」で提起されている問題は,以下のようなものでした.・リクナビが販売した就活生辞退予想データを作り出した仕組みは,AIによるプロファイリングとスコアリング技術を用いて,過去のデータから辞退者プロファイルを抽出し,今年の就活生の辞退予想スコアを算出するものであった.そこでは,機械学習においてディープラー...
「日本の科学者」読書会

2025/09/08 「日本の科学者」読書会9月例会の報告 8月号特集「社会的ひきこもり,登校拒否・不登校の今日的課題と展望」/ 9月号特集「学問の自由と揺らぐ基盤」

「8月例会が参加希望者の日程が調整できなかったために,9月8日(月)に『日本の科学者』8月号(特集「社会的ひきこもり,登校拒否・不登校の今日的課題と展望」)と9月号(特集「学問の自由と揺らぐ基盤」)を合わせて9月例会を行いました.報告は2つで,まず,黒澤さんが8月号の特集にある「ひきこもりの長期・高齢化と家族への支援 ― ひきこもりつつ豊かな人生を」(著者:田中義和)を紹介されました.内容の概略は,以下の通りです.・ひきこもりの長期・高齢化が進み,平均ひきこもり年数は11年を超える.ひきこもりの初発年齢は平均19.7歳で,学校での人間関係やいじめ,就職活動・職場での人間関係がきっかけとなってい...
報告

2025/08/19 2025年原水禁世界大会科学者集会の報告

8月3日(日)13:30〜16:30の日程で,原水禁世界大会科学者集会がオンラインで開催されました.100名を超える参加者が,上山明博 さん(ノンフィクション作家,日本科学史学会会員)と羽場久美子さん(国際政治学者,青山学院大学名誉教授)の講演(報告)を聴き,質疑応答と討論を行いました.以下,それぞれの講演内容について第1部・第2部として概要を報告します.【第1部】 上山さんは,科学者の人物伝を中心に著作活動をされており,今年『仁科芳雄「原爆を作ろうとした物理学者」がみたもの』を上梓されています.その本の内容に基づく報告1として上山さんが「核廃絶 ―仁科芳雄博士がめざしたもの」と題して講演され...
AI問題研究会

2025/07/26 AI問題研究会準備会の報告

先の第55回福岡支部定期大会における提起に基づいて「AI 問題研究会」を立ち上げるべく、その準備的討論会が7月26日(土)14時から2 時間Microsoft Teamsオンライン形式で開催された。参加者数は5名であった。先ず呼びかけ人の一人西垣が問題提起として発言した。冒頭、生成系AIの急発展を受 けて各メディアが、今まで指摘されて来たAIの問題点や危険性を後景に退けて、あらゆる分野の人々を、あたかもAI活用がいま最も急がれる技術革新であるが如くに駆り立てているが、西垣個人は、AI化は人間と社会をむしろ重要な変質に導く可能性が大である、と考えていることを前置きした。続いて、昨年のノーベル物理...
核問題研究会

2025/07 福岡核問題研究会2025年7月オンライン例会の報告

話題提供者:中西正之氏標題:米国・原子力規制委員会・技術報告NUREG/CR-6042, Rev. 2についてはじめに・NUREG/CR-6042 1)は、米国原子力規制委員会(NRC)が発行した技術報告であり、商用軽水炉原子力発電所の過酷事故に対するリスク対策の歴史、実績、教訓をまとめたものである。NUREG/CR-6042, Rev. 22)はその改訂2版である。・原発の運転差し止めを求める訴訟では、原子力基本法第2条第2項の「確立された国際的な基準」としてIAEAの5層の深層防護が挙げられ、その第5層(避難計画)の不備が指摘されることが多い。・しかし、深層防護の論理的説明は少なく、その背...