「反省するドイツ」から「右傾化するドイツ」へ?
―AfD台頭の歴史的位相をめぐって―
今井宏昌(九州⼤学)
はじめに:「右傾化するドイツ」?
現代ドイツ:再統⼀(1990 年)から 30 年以上を経て、欧州連合(EU)の中⼼的国家に⇒ナチズム(国⺠社会主義)という「過去の克服」を踏まえた「⾃由と⺠主主義」 の国⇔解決しない「東⻄格差」/「オッシー」における「ヴェッシー」へのルサンチマン新⾃由主義的グローバリズムへの反発から、右翼ポピュリズムや EU 懐疑派が台頭
排外主義的右翼ポピュリズム:欧州難⺠危機(2015 年)を契機として欧州各国にて台頭⇒ドイツでは「⻄洋のイスラーム化に反対する愛国的欧州⼈」 (Pegida, 2014 年結成)がフランス週刊紙『シャルリー・エブド』襲撃事件(2015 年 1 ⽉)への反発で台頭ドイツ政府の難⺠政策に反対/キリスト教⺠主同盟(CDU)のメルケル⾸相を⾮難
EU 懐疑派政党:EU を少数エリートによる不当⽀配だと批判し、⾃国第⼀主義を掲げる⇒ドイツではユーロ救済に反対の「ドイツのための選択肢」(AfD, 2013 年結成)台頭Pegida との連携をめぐっては党内で議論があったものの、基本的には協⼒関係締結ジェンダーフリー促進策への停⽌要求/ドイツに同化しないイスラーム教徒を批判
「右傾化するドイツ」:右翼ポピュリズム、EU 懐疑派の台頭/2010 年代から危惧される⇔ここでの「右」を単なる「ネオナチ」や「⼈種差別主義者」だと断定してしまうと、第⼀次世界⼤戦期から続くドイツ現代史の重要な⽂脈・側⾯を⾒落としてしまう!本報告: 「過去の克服(Vergangenheitsbewältigung) 」と「保守⾰命(KonservativeRevolution) 」という 2 つの概念を軸としながら、AfD 台頭の歴史的位相を考察
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