2025/11/10 「日本の科学者」読書会11月例会の報告

 JSA福岡支部「日本の科学者」11月の読書会は,11月10日14時からオンラインで開催されました.参加者は4名でした.特集「洋上風力発電の課題」の最初の3論文(草島,田鎖,浦)の概要を3名の会員が紹介して風力発電について討論をしました.
 草島論文「洋上風力発電の持続可能な開発とは」では洋上風力発電の抱える課題がコンパクトにまとめられ,続く田鎖論文「風車騒音による住民への健康影響に関する考察」では騒音の問題が,浦論文「洋上風力発電が鳥類に与える影響とその回避軽減策としてのセンシティビティマップの活用」では野鳥や野生生物に与える影響の問題とそれへの対策の提言が紹介され,どちらも洋上風力発電施設が住民や野生生物に与える環境影響について予防原則的な取り組みが必要なことが分かり易くまとめられていました.
 一方で,脱炭素・脱原発の電力供給を進めるために,日本での再生可能エネルギーの開発・普及が急がれます.そうした中で,日本では再生可能エネルギーとして重要な風力発電の開発が諸外国に比べて遅れている状況があります.それに対して経産省の資源エネルギー庁がどのような取り組みを進めようとしているのか,また日本における再生可能エネルギーの開発において環境影響への配慮も含めた風力発電はどれくらいの比重を持ちうるのか等の日本における風力発電開発全体的について理解した上で,その計画と実際の開発における問題点を考える必要があります.11月号では,特集を補完する橘高,長谷,風間,景山,脇田各氏の報告も合わせて様々な課題については詳しく分かるようになっています.しかし,日本における風力発電開発の必要性や全体の進捗状況・計画等についての概略などを説明する論文があれば,「洋上風力発電の課題」をより深く理解できたのではないかとも思いました.   
 (報告:小早川義尚)

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