9月20日(土)14:00からオンラインでAI問題研究会の第1回例会を開催しました.残念ながら参加者は世話人の2名だけでした.2名だけでしたが予定通り2020年に「日本の科学者」に掲載された小倉久和氏の「AIと社会(1),(2)」について西垣と小早川がそれぞれ報告して討議しました.
「AIと社会(1)」で提起されている問題は,以下のようなものでした.
・リクナビが販売した就活生辞退予想データを作り出した仕組みは,AIによるプロファイリングとスコアリング技術を用いて,過去のデータから辞退者プロファイルを抽出し,今年の就活生の辞退予想スコアを算出するものであった.そこでは,機械学習においてディープラーニングを活用し,ビッグデータで対象・対照集団の特徴を分析している.
・そして,Web上で利用されているAIシステムは,フィルターバブルを作り,多様な情報へのアクセスを阻害する.そのため,熟練者は統計処理によってはじかれるような異常データに気づき,新たな知見を得るが,現状のAIではこの「ハッとする」現象を扱えず,専門家の知性を模倣する必要がある.AI はまだまだこれからである.
また,「AIと社会(2)」では,自動運転についてとりあげて,以下のような解説がされています.
・ABS(Anti-Lock Braking Systems)などの車載システムはAI技術の一種であり,熟練運転手の判断を学習して開発された.しかし,AIは学習データの範囲内でのみ機能し(いわゆるAIにおけるフレーム問題),想定外の状況では失敗する.
・そうした中で,自動運転車事故の責任は,日本とアメリカで異なる.日本では運転者の責任が重視される一方,アメリカでは企業責任が問われる傾向にある.
「AIと社会(1)−(4)」は科学余話として2019年に執筆されており,いわゆるChatGPTに代表される様なLLMを応用して,特に対話に特化した機能を持つAIモデルが2020年以降に急速に普及する前に執筆されたものです.そのため,議論する中で様々な概念や語句の意味などに参加者の現在の理解とかみ合わない部分もありました.
また,集まりが悪かった要因についても検討したのですが,例会案内のアナウンスが例会で取り上げる具体的なテーマなどを明確に設定せず,具体的な研究会の進め方も曖昧な内容であったことも一因だったのかもしれません.次回以降は各回の研究会で話し合うテーマを具体的にして案内をアナウンスすることも検討しました.
(AI問題研究会世話人:小早川義尚)
2025/09/20 JSA福岡AI問題研究会 第1回例会(9/20)の報告
AI問題研究会

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